携帯電話をめぐる狂気
その時、倉庫の扉がけたたましいほどの金属音を鳴らした。
二人は思わずそちらに気を取られて振り向く。
「何してる!」
音をたてた主が、怒鳴るように言う。
「広田くん!」
女が叫ぶ。
それは、助けを求めていたまさにその相手だった。
広田は女の必死な顔を一目見るや、二人に駆け寄る。
男は面倒くさそうな表情をして、向かってくる広田に向き直る。
広田は走った勢いを殺さぬまま、男の顔に拳をぶつけた。
男は思い切り吹き飛ばされ、後ろに倒れ込む。
「去れ」
広田は男を睨みつけ、限りなく温度のない声音で告げた。
「二度と、こいつの前に現れるな」
人を殺せそうな、目をしていた。

