☆ソラ☆
「連？話し聞いてる？」

七森に肩を叩かれ、俺は現実に戻された。
七森は俺と目が合うと、少し頬を膨らまし、さっき話そうとしていた会話を始めた。

「今日も菜緒と屋島君、楽しそうに話してたんだよ。」

身体の中をすーっと何かが走る気がした。

「放課後ね、音楽室の…」

「七森、もう止めて欲しいんだけど。部活が終わるまで待ってんの！」

イライラが俺の中で積もっていく。

七森は俺の言葉を聞くと、その場で立ち止まったけど、俺は立ち止まらなかった。
俺はただ自分の足をできるだけ先に進めたかった。
しばらくして、後ろから走ってくる音が聞こえた。

「私は連のことが好きなの。少しでも連の傍にいたい!!」

七森は俺の背中に気持ちを必死に伝えてくる。
でも、俺は七森に向き合ってキツイ口調で言った。

「無理。俺はお前のこと好きになれない。悪いけど、彼女にしたいと思わねぇ。」

このとき、俺は自分の気持ちを素直に口にできる七森に嫉妬していたのかもしれない。
だから、俺は自分を自分で制御することができなかったんだ。

「部活が終わるまで待たれると困るし迷惑だから。」

俺はそれだけ言うと、再び歩みを進めた。

すると、後ろから

「もう、待たない!!でも、連のことは諦めないから!!」

という七森の声が聞こえてきたけど、その声は風のように通り過ぎていった。
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