あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
ふふふ、と思わず笑いを零しながら、今週の写真をアルバムしていた

霧島君専用の写真ファイル

公開練習中の霧島君や、一緒にランチをしたときの霧島君の横顔を撮った写真などを毎週毎週ファイリングしている

それが私の楽しみ

「やってる、やってる。相(愛)も変わらず、好きだねえ」

大学で知り合った友人・木下結衣ちゃんが、カフェテラスにいる私に近づいてくると声をかけてきた

「霧島君、今週も格好良かったよ」

「はいはい、聞き飽きてますから。その言葉に」

結衣ちゃんが栗色の髪をガシガシと掻きながら、呆れた表情で私の隣に座った

「ほんと、好きだよネエ…こいつのこと」

「大好き」

「はいはい。知ってますから。最近はプライベートな写真も増えたねえ」

「んー、休憩中にランチをね…するようになったの。先週は練習試合でランチは無理だったから、霧島君のバイトの時間まで公園で…」

「ちょっと…待って」

結衣ちゃんが、私の眼前に手を出してきた

「それってさ、付き合ってるんじゃないの?」

私は首を左右に振る

「霧島君には振られてるって言ったじゃん。恋人を作る気はないって言われてるし」

「付き合ってないのに、そんなに頻繁に二人で出かけてるわけ?」

「出かけてないよ。一緒に昼食を食べてるだけだよ」

結衣ちゃんが「はあ」とため息とつくと、額をペチンと叩いた
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