あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「失礼ね」と私は頬を膨らませると、霧島君が「ははっ」と笑った。

 私は重箱を開けると、霧島君にウェットティッシュを差し出した。

 霧島君は、手をウェットティッシュで拭いてから、甘い卵焼きを指でつまんで口に入れた。

「あまっ」

「苦手?」

「んー。わかんねえ」

「家では醤油派?」

「胡椒派」

「そうなんだ。次は、胡椒にするね」

「別にこれでもいいよ。慣れるだろ、何回も食えば」

 え? 何回も? 

 それって何回でも、霧島君にお弁当を作ってきてもいいってこと?

「何回も?」

「あー、うん。どした?」

「いや……だって。それって解釈によっては次も作ってきていいって事になるかな?って」
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