あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「恋人同士になれる可能性はある?ってこと」

「無いと思います。一度、告白してきっぱり断られてますから」

 私は苦笑いを浮かべた。

 西條さんは、私の言葉におかしな表情をする。

 断れても、まだ好きだと追いかけ回す女は、普通はおかしいのかもしれない。

 新たな恋に目を向けて、好きだった人から卒業しているはずなのに。

 私は霧島君に断られても、好きだと言って追いかけてる。

 毎週末、霧島君の学校に行って、ランチをしている。これって、傍から見ればおかしいのかもしれない。

 私は下を向いて、手をぎゅっと握りしめた。

「一途なんだね」と西條さんがにっこりと笑った。

「え?」

「断られても、その人を好きでいられるなんて、桜ちゃんは一途なんだね」

「そう……ですかね」

 私はすでに空になっているグラスを傾けて、飲む振りをした。
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