あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「僕は西條 輝臣。たぶん、最初にやった自己紹介を覚えてないと思うから、再度、自己紹介しておくね」

 西條さんが、にこっと笑う。

 黒色のポロシャツにジーパン姿の西條さん。とくにこれがお洒落ってわけじゃないけれど、清潔感のある着こなしについ目がいってしまう。

 西條さんに言われた通り、最初にやった自己紹介なんて覚えてない。

 最初から覚えようと男性たちを見てなかったし。初めての合コンってことで、かなり緊張してた。

 お酒を飲んだら、場が和んで、会話も弾むから! と美雪ちゃんに教えてもらっていたけれど。

 場が和んでも、私自身の合コンの場に馴染みきれてなかった。

「西條さん……ですか」

「テルでいいよ。で、彼氏は?」

「どうしてもその質問に答えないとダメなんでしょうか?」

 私の質問に、西條さんが苦笑した。

「ダメ……ってわけじゃないけど。彼氏いる人に、普通、コクれないでしょ」

「ああ……そうですよね」

 私は何度も頷いた。

「で? 桜ちゃんは」

「彼氏はいません。でも、好きな人ならいます」

「望みは?」

「望み?」

 私は西條さんの顔を見た。
< 76 / 114 >

この作品をシェア

pagetop