クズレタ果実【完】
「ちなみにすぐ上の兄貴は、カナダの支店に赴任中」



「冴嶌だけ、教師なんだ?」



「金持ちアピールとか儲けとか興味ないんだ。俺はこじんまりした普通の家やマンションに暮らしたい」



革張りのソファーに浅く座り、股を広げてだらけてる冴嶌。

背凭れに頭を預けて、「お前もだろ?」と訊かれて頷くと、「だろうな」と、言われた。



「わかってて訊く?」



「訊いた」



私は呆れた溜め息を漏らしながら、呼ばれた理由を訊いた。
< 141 / 320 >

この作品をシェア

pagetop