Welcome to the world
‐ピンポーン

唐突に玄関のチャイムが鳴った。鈴は目を覚まし、素早くソファーに座り直す。僕はそれを尻目に玄関に向かう。鈴の期待の眼差しが、後ろから突き刺さる。
ドアを開けた先に居たのは、大学生くらいの男女だった。客を笑顔で出迎えるのが僕の役目。
「こんにちは。『扉屋』にご用でしょうか?」
真剣な面持ちで頷く二人。
「では、詳しい話は中で。」
そう言って、二人を中に案内する。室内の異様な光景に驚きつつも、付いてくる。改めて思うが、漆黒に染まった部屋は、あまりにも浮き世離れしていた。
鈴の座るソファーから、ミニテーブルを挟んで向かい側。そこが客の席だ。鈴は二人を確認すると、無機質な声で語りだす。
「やあ、『扉屋』にようこそ。
ああ、名乗る必要はない。生憎興味が無いのでな。」

「さて、君はどんな世界をご所望かな?」
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