世界が逆転した日
そして俺たちは、美味しいフランス料理を十分味わってから家に帰った。

家に着いたら、あの話をしようって決めてたんだ。
他のお客の目もあって、あのレストランではできなかった話を。


「あの、明宏?俺と一緒に暮らしていること、お父さんは本当によかったのかな?」


「前も言ったでしょう?あの人は俺に興味なんかないって。
俺のことなんてどうでもいいんですよ。家族でも何でもない。
生物学上の父というだけです。」


「そんな言い方良くないよ。本当はお父さんだって明宏のこと大切に思って...。」


お父さんの話を持ち出すと急に不機嫌になった明宏に怯みながらも、反論する言葉を探す。

どうでもいいなんて、そんなことないはずだ。
本当にどうでもよかったら、わざわざ会う必要なんてない。
特に日本にくる用事もないのに会いにくるのは、明宏に会いたいからなんじゃないの?
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