世界が逆転した日
「大丈夫ですか?弱いのに無理して飲むからですよ。」


「弱くない...。少し、酔いやすいだけで。」


座り込む俺の隣に、明宏も座って目線を合わせて話す。
俺は視界が定まらなくて、明宏の顔がボヤけるけど。


「それを弱いって言うんですよ。」


「うるさい。明宏のせいだ。明宏が全部悪いんだ。」


俺をこんなに好きにさせておいて、1人にするなんて。
この明宏じゃなかったような気もするけど、頭の中がゴチャゴチャでよく分からない。


「もう...。そうですね、俺が全部悪いです。すみませんでした。」


何が悪いか分かってないだろ!

無性に腹が立って、猫みたいな口をぎゅっとつまんでやった。

俺はこの猫みたいな口が好きなんだ。
笑うと可愛いし、キスすると柔らかくて気持ちいい。
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