世界が逆転した日
気づいた時には、俺は河原にいた。



全身がちぎれそうに、痛い。

ありえない痛みに、意識がモウロウとするなか、
必死に状況を整理する。


そうか。

俺、車にひかれたんだな。

それで、何mかふっとんで、
土手から転がり落ちたのか。

運転手はいないからたぶん、ひき逃げ。


家は...、家族はどうなったのかな。

死んじゃったのかな。

きっと俺もこのままここで死ぬんだ。



最後に俺が見たのは、

フワフワしたくせっ毛の、猫みたいに口元がムニッとした、若い男だった。










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