愛するということ
「・・・ひっく・・・っく・・・
わか・・っ・・・た・・」


俺は、その時初めて、オヤジに時間がないことを知ったんだ。



それと同時に、俺より1つ年下の瞬に、友里を任せると言ったことに、ちょっと嫉妬もした。





それから少しして、オヤジは逝った。


最期は、病室で俺たち家族に見守られて逝った・・・

それからは、あっという間だった。


葬式の時に、親戚のおばさんや、おじさん、オヤジの会社関係の人や友達なんかが、入れ替わり立ち替わり母さんに



「まだ若いのに・・・」

「志半ばで・・・」


なんて言って泣いてたけど・・・



俺は、ただオヤジの写真を見つめながら、ギュッと手を握りしめて動かない瞬が不思議でたまらなかった。


拓馬は、必死で涙をこらえてはいたけれど、誰の目にも泣いているのは分かっていたし、俺だって、半泣きしていた。


その隣で、涙ひとつ流さない妹を、

大人たちは、「瞬ちゃんは、強いのね」

「まだ、実感がないのかしら・・・」
なんて、話してたけど、
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