愛するということ
「それにしても、あぢぃ―」


汗で張り付いたTシャツを着替えようと、クローゼットを開けた時、




――ドスン




隣の部屋から物音がした。

隣は瞬と友里の部屋だ。



「やっぱり、帰ってんじゃねーか」


チッと舌打ちしてから、戻ってくるのが遅い中川の様子を見に、部屋を出た



廊下の突き当たりがトイレだから、瞬の部屋の前を通る。
瞬の部屋は、ドアが少しだけ開いていた。

俺は、さっき無視されたことに急に腹がたってきた



「瞬!いるんだろぉ?返事くらいしろよ!」


ドアに向かって、叫んだとき――



―パチン
―パチン



「・・・やっ」


乾いた音と、小さな声が中からした。
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