君と見上げた空【完】
「空いますかー」

それから次の日、私は空を迎えに行った。

「ごめんね、先言っててくれる?
 それと、あの…蝶ちゃんには申し訳
 ないんだけどもう迎えに来なくていいよ…
 もうこれからずっと………」


「…そうですか…」

私は、小さくそう返事をしたとき
覚悟を決めた。空のお母さんに聞こう。

今空はどんな状態なのか。それと

”空は…いつまで生きられるのか…”

勘がいい私は気づいちゃったんだ。

空のお母さんの口調と顔色から…。

「あの…ッ」


「ん?なに…?」

「教えてください…空の病状を」

そう言った瞬間空のお母さんの瞳が
大きく開いた。そして一言…

「……分かったわ」

私は大きく息を吸って…覚悟した。


「空をね、病院に連れてったの。
 日曜日の朝に」

「日曜日の朝って…」

「そう、蝶ちゃんととのデートの日。
 あのね、蝶ちゃんは色々あって
 気づいてなかったと思うけど、
 空の病気が進行していたの…」

私は思わず唾を飲んだ。

「空の異変に気づいたのは二週間程前。
 朝、空がいつまで経っても起きなか
 ったの。それでおかしいなって思い
 ながら空の部屋を開けたら…
 目覚まし時計が鳴っているにも関わらず
 寝ていたの……何回呼びかけても
 揺らしても起きなかった…」


「起きない…?」


「昔、何回かあったのこういうこと。
 だけどこの頃はなかったから驚いた。
 空は結局二十分後に起きたけど…
 毎日どんどんどんどん…寝てる時間が
 長くなってきてる…十分、二十分
 三十分……」


どういうこと…?


「病院の先生にはなんて言われたんですか?」


「……分からないって…
 だけど空の生まれつきの病気も重なって
 もう残り……
















一ヶ月なん…だって…」









「え……?」



一ヶ月で…空がいなくなる…?

もうあの笑顔も声もなにもかも空の全てが
……なくなってし…まう…の…?







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