12年目の恋物語
「で、何があったの?」
単刀直入に聞く。
遠回しに聞く理由はない。
「わたしも、斎藤くんに聞いたくらいの情報しかないんだけど……」
「斎藤?」
広瀬叶太じゃないのか。
「あ。同じクラスの……、陽菜の隣の席の男子です」
「ハルちゃんは、教室で?」
気になるのは、やはり、ハルちゃんのこと。
情報源が隣の席の男子と言うなら、教室かと思った。
ハルちゃんが倒れたという昼休み、ボクは、目の前の後輩、寺本さんといたから。
ボクも、寺本さんも、ハルちゃんが倒れたところも、救急車に乗せられるところも見ていない。
「いえ。保健室の側の校舎裏だったそうです」
保健室の側の校舎裏?
「中等部側の雑木林のある?」
「たぶん」
「たぶん?」
「斎藤くん、高等部からの外部生だから、その辺、曖昧なんです」
なるほど。
しかし、なんでまた、そんなところに?
あそこには、図書館の裏のように、ベンチがあるわけでもない。