12年目の恋物語

ああ、いいよ、もう!



分かったよ。



あなたが、どんだけ善良で、悪意ってものがない人かって、よーく分かったよ。



わたしが悪かった!!



……負けたよ。



ただ、謝って、それで水に流してもらおうと思ってた。

それで、スッキリしようと思ってた。



でも……。

この子は、わたしがずっと、こうなりたいと思っていた女の子。



穏やかで、優しくて、悪意のカケラも見当たらない。

誰からも愛される、誰からも大切にされる女の子。





ずっとずっと、大っきらいだった。





だけど、

もしかしたら、

わたし、これから、あなたのこと、好きになれるかもしれない。





わたしが、ぎこちなく笑うと、牧村さんは、優しく笑い返してくれた。



 《 完 》
< 202 / 203 >

この作品をシェア

pagetop