12年目の恋物語
10.叶太と志穂と斎藤の密談

「ごめんね、待たせて」



制服に着替えた志穂が、小走りにやってくる。



「いや。オレこそ、ごめん。疲れてんのに」

「ぜんぜん平気」



志穂はカラカラっと笑って、腰に手を当てると、辺りを見回した。



「んー。どこで話そうか?」



外は暗い。

もうすぐ、学校も閉まる時間。



「志穂って、電車だっけ?」

「うん」

「じゃ、駅前のファミレス行こう。おごるわ」

「え? いいの? ヤッタ」



志穂はガッツポーズをした。



「自転車取ってきていい?」

「もっちろん」



志穂は元気だ。

そして、明るくてさわやか。

オレは男女ともに友だちは多いし、女子とも平気で話す方だ。

でも、その中でも志穂は別格で、とにかく話しやすい。

サバサバしてて気持ちがいい。

その後腐れなさが、男っぽいと言ったら、ぜったい、文句言われると思うけど。



「あ、少し遅くなるって、家に電話しよう」

「じゃ、夕飯食べてくって言っとけば?」

「え? なに? お茶じゃなくて、ご飯食べていいの!?」

「何でも食べて。これから話して、帰ってから夕飯じゃ、腹減るだろ?」

「ありがとう! じゃ、電話してるから、自転車取っておいでよ」

「わかった!」



オレが駆け出すと、後ろから、



「慌てなくていいよ~!」



という声が聞こえてきた。
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