教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「先生のバカ!」


あたしは叫んだ。


それを聞いた先生はぴたりと足を止める。


「どうして?いきなり言われたって納得出来ないですよ」


「…」


「あたしには話せないことなんですか?」


「…」


「それとも迷惑がかかると思っているんですか?あたし、ちっともそんなこと思わないですよ。だから…」


そして後ろから抱きしめる。


「だから、行かないで下さい」


「…」


先生の長いキレイな指があたしの手に触れる。


きっと気持ち、伝わったんだ。


あたしは自然と微笑する。


しかし、先生はあたしの手を優しく元に戻してしまった。


振り向いた彼の目には深い悲しみの色が溢れている。


「…」


その顔を見てあたしは何も言えなかった。


そして遠ざかっていく後ろ姿を見ていることしか出来なかった。


「どうして」


あたしは思わず呟いた。


先生。


どうしてあなたはいつも突然なんですか?


どうしてあたしに何も話さないで1人で抱え込むんですか?


どうして大人の事情だなんてごまかすんですか?


答えは返ってこない。


あたしはこんなにも好きなのに先生、あなたは。


あなたは突然別れようとする。


もうわけがわからないよ。


あたし、どうすればいいの?
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