教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「おい、遠慮なく食っていいんだぞ」


先生がそう言うけど、あたしは黙っていた。


「ほら、今日も学校なんだから食った、食った」


「先生、よく朝っぱらからこんなの食べられますね」


「え?通常通りでしょ?」


「異常です!」


だってあり得ない。


朝からフカヒレやカニを食べろって言うの?


しかも燕の巣って…。


なんで朝ごはんに、こんなに金をかけているのだろうか。


明らかに高級中華料理の域だし、店を開いても文句なしだと思う。


しかもこれで通常通りとは…。


お嬢様学校、桜華風女子高に通うあたしでもまったく理解が出来ない。


同じ学校に通っていたなんて信じられないよ。


先生はずっと固まっているあたしにしびれを切らしたらしい。


「もういい。いらないんだな?」


「いりません」


「じゃ、俺が食う」


「!」


結局、先生は高級な朝ごはんを2人分食べてしまった。


先生の食欲に脱帽した朝だった。


「ヤバい、そろそろ時間だぜ」


「ごちそうさまでした」


「お前は食ってないけどな。お粗末様です」


「どこがお粗末様ですか。っていうか、遅刻しますよ」


「走るぞ」


あたし達は家の中でダッシュした。


その結果、2人ともじゅうたんに引っかかって派手に転んで、その衝撃で目の前にあった本棚から本がたくさん落ちてきた。


ドサドサドサッ。


もちろん本の雨は頭や体に容赦なく降りかかる。


「痛っ」


「うわぁ、いてえっ」


まったく、なんで朝から「8時だヨ!全員集合」みたいなコントを繰り広げなきゃいけないんだか。
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