教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
-昼休み-


「いいよね、水香は」


昼食をとっているといきなり凛が言った。


「何がよ」


あたしは凛の言っていることがわからなかった。


「決まってるじゃない。とぼけたって無駄だからね」


陸までもがおかしなことを言い出す。


別にとぼけてなんかいないのだけど。


「だから何なの?」


「この後、森田先生にお呼ばれされてるでしょ」


わからない子だわ、というように凛が言った。


「ああ、そういうこと」


「嬉しくないの?」


陸の問いかけにあたしはそっけなく答えた。


「うーん、別に普通」


これから告白するだなんてとてもじゃないけど言えない。


「うわ、嫌味だわ」


陸と凛は言った。


いや、嫌味なんか言ったつもりないんですけど。


何なんだ、この2人は。


そしてさんざんからかわれながらも、あたしは会議室に行った。


先生があたしを呼んだ理由、気になる。


昨日の口止めかな?


告白だったらいいのにな、とごく一般的なチョコレートよりも甘いことを考えてしまう。


ドアをノックすると返事が聞こえたので中に入った。


そして先生に勧められるがままにイスに座る。


「あの~、先生。ご用件は?」


あたしはおそるおそる聞いた。


「青葉、実は石野先生から聞いたんだけど…」
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