オトナのキュンラブss†渇望~体から始まる恋






ガチャン!

思わず手からフォークがランチプレートの上に滑り落ちる。




欲求不満?!

呆気にとられる私を、向かいの席の松本くんはコーヒーカップに口をつけながら平然と見返してくる。

くっきりと線の際立った精悍な顔立ち。

もう四年以上同じ職場の仲間として見慣れた顔のはずなのに、まるで知らない男の人のように見えた。



「れ、蓮くん何言ってるのっ?!そ、それってセクハラだからっ」

「…美穂、

会社じゃ俺のこと名前では呼ばないって言ってなかったか?」

「っ、松本くんだって今私のこと名前で呼んだじゃない!」



私の目の前でじゃれあうような言い争いを始めた後輩二人を見ながら、

私は無意識のうちに水の入ったグラスに手を伸ばしていた。



欲求不満、なのかな?


元カレと別れたのは二年前のこと。

一方的にふられた私は、立ち直るのに一年以上かかってしまった。


それ以降、色恋沙汰とは無縁の日々。

確かにそういう意味では文字通り、無味乾燥の生活を送っているけど…


一気にグラスを煽ると、冷たい氷水が体の中を通っていく。

そのせいだっていうの?


グラスを空けてしまっても、いつまでも喉の渇きが収まらないのは…---



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