隣に住んでいるのは先生で……。
それから、お姉ちゃんとお母さんは私の部屋から出ていった。
そして、私は先生と二人っきりになった。
「先生、ごめんなさい。たくさん迷惑かけて………」
「迷惑だなんて………」
「でも、ずっと記憶も無かったし、挙げ句の果てにまた事故を起こしそうになった」
先生と言い合いをしていた時、私はトラックに引かれそうになっていた。
道路に誤って出た私の腕を掴んで、私を先生は歩道に引き戻して守ってくれた。
その時にトラックに引かれそうになった衝撃で、気絶したけど、目覚めると私は記憶を取り戻すこともできた。
きっと、トラックに引かれそうになった衝撃がよほど大きかったんだろう………。
「すべて先生のお陰です。先生がいなかったら私は………」
今頃、どうなっていただろう………。
想像するだけで恐ろしい………。
「昔、俺は綾子を守れなかった。それがずっと悔しくて………。だけど今回もまた綾子を失いかけた。その時に、俺に綾子を失ったらどうなるかなんて考えられなかった」
「先生………」
私はベッドに横になっていた体を起こし、先生を抱きしめた。
「私はもう先生から離れないからね」
「離れたいって言っても離さないから………」