親友ときどき上司~熱風注意報~
成長…してないよねぇ?
と、ぼんやりと荘司を見上げていた瑞希は、
「ん~、荘司を好きになっちゃおうかな。ご飯美味しいし。」
と目元を細めて笑う。
大きな瞳にしっかりとしたアイラインを施す瑞希は、どこからどう見ても美人と言われる部類だか、時折見せる表情は彼女が童顔である事を垣間見せる。
瑞希がその事実を隠す為にあえて濃いメイクを施している事は内緒だ。
この年齢で童顔など、損なだけで何の役にも立たない。
室長になってからは、スーツや小物、髪型まで必死に大人の女を演出する努力をしていた。
「本気で思ってる?」
一瞬だけ驚いた表情を見せた荘司は、次の瞬間には整った眉を吊り上げた。
「やっぱ、なしかぁ。」
「アタシをメイド扱いする気?」
「可愛くないメイドだけど…もう、ついでに一生面倒みてくれないかなぁと。」
「却下。」
仕事中はあまり笑う事のない瑞希は、フニャフニャと笑って机に顔を埋めた。