親友ときどき上司~熱風注意報~


 当時、教育係の荘司と瑞希はかなりの時間を一緒に過ごしていた。

 瑞希の男運のあまりのひどさに、荘司は適度な距離感を崩す事も度々出てきていた。

 余り食べる事に興味のない瑞希を知ってからは、休日も外に連れ出され食事を与えられた。

 しかし、どれだけ一緒に居ようと、荘司と瑞希の間に甘い空気など芽生えなかったのだ。

 肩を抱かれようが、頬を触られようが、瑞樹に触れる荘司からそんな空気を感じ取った事はない。

 初めは、完全に子供扱いなのかと思っていた。
 世話の焼ける妹とでも思われているのかと。

 しかし、これだけモテ要素特盛りの男前に浮いた話などなく、社内外問わず女達の誘いを当たり障りなくかわす荘司を、8年も見ている瑞希は、確信していた。

 別に、ゲイであろうが言葉遣いが可笑しかろうが、親友には変わらない。

 寧ろ、荘司が助けを求めた時に、助けられる人間に成長していたいと思っていた。

 相変わらず、説教されてばかりだけど―――


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