親友ときどき上司~熱風注意報~


「オッサン、よっぽどヘタなんだな?もう、枯れちゃってるとか?」

 標的を瑞希だけじゃなく、荘司も加えた隼人は、優勢にあると判断したのか、2、3歩瑞希達の方へ歩を進めた。

 その行動に、守るように荘司に抱きしめられる。
 視界から隼人が消え、荘司のスーツの胸元に顔が埋まった。

 初めて気付いた香水と荘司自身の香りに、瑞希の胸がトクリと跳ねた。

 瑞希の後頭部を抱き寄せる荘司の大きな手のひら。
 項から髪を梳くように入ってくる節張った指。

 巻き込んじゃったなぁ―――

 完全に荘司に庇われている状況。
 瑞希はいたたまれない気持ちになる。



「残念ながら抱いた事ないから。

ホラ、瑞希は好きな人としか抱き合えない、とか言っちゃう子だしねぇ?」


 頭上から聞こえる荘司の声。


 
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