親友ときどき上司~熱風注意報~


 料理をするのが苦痛でなくて良かった。

 こればかりは、男も家事はするべき、と叩き込んでくれた祖母に感謝する。

 日本語では苦労したが―――

 その日本語も10年以上日本にいれば、ほぼ克服できている。

 状況に合わせて言葉を選ぶのは社会人として当たり前の事だし、荘司自身が図太くなったのもある。

 時折、普段の言葉遣いが出ても気にしなくなった。

 部下を怒る時などは、意外な程に恐怖を与えるらしく、有効利用している位だ。

 最も、瑞希はそのせいで可笑しな勘違いをしているようだったが―――

 その勘違いのせいで、素直に甘えているのかもしれないと思うと、訂正する機会を失ってしまっていた。


 ベッドに瑞希を寝かせ、顔に掛かる長い髪を避けてやる。


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