親友ときどき上司~熱風注意報~
正直、荘司のマンションに居られるのは嬉しい。
新しい部屋が見つかるまでと言うのは我が儘だけれど、まだしばらくは完全に1人になるのは怖い気がしていたから。
例え荘司が留守でも、荘司の部屋に居られるのなら安心出来る気がしたのだ。
「何?アタシがいないと寂しい?」
「っ!違っ、そうじゃなくてっ。」
「なるべく早く帰るから、良い子にしてて。」
「だから、そうじゃなくてっ。」
予想外の言葉に真っ赤になった瑞希は、反論しようとしたが、何を言っても言い訳にしかならない気がして言葉を失った。
留守に上がり込んで嫌じゃないのかとか、考えながらも、荘司がいない事に寂しさを覚えたのは図星だったから。
会議室への短い廊下を進みながら、妙に気恥ずかしくて歯噛みする。
そんな瑞希を、荘司は苦笑いで見下ろすと、書類を抱える瑞希の代わりに会議室の扉を開けてくれた。