tearless【連載中】
『誘ってんの?』

「は?何でそうなッ…ンッ…」



顔を上げると、璃琥の手が後頭部を抑え唇が重なる。

さっきとは違い、激しく重なる唇に息苦しくなった。



「…ッハァ…」

『今は、ここまでな?』


妖艶な笑みを浮かべると、私の体を離しソファーに行くとドカッと腰を下ろした。

その金色の髪をただ追いかけ、ボーッとする私に“こっち来いよ”と余裕な璃琥。



「ムカつく…」



やっぱりムカつく!!!

私の事、完全に見透かしてる。

悔しいけど、璃琥にはかなわないな…きっと。



『…腹減った』

「…バカ」



そんな男に惹かれたのは私。

なんでかな…?

ムカつくのに、大好きで。

璃琥にだったら、何言われても平気。

寧ろ、愛しいとさえ思える。



アイツの時は、苦しくて、悲しくて、嫌だったのに…。



少し間隔を開けて隣に座ると、背中をソファーに預けた私。



『雨…止まねーな』

「うん…」



窓の外は、まだ止む気配を見せないどんよりとしたグレーの空が広がっていた。


 
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