tearless【連載中】
「別にいい…」



本当は知りたかった。

璃琥の事なら何でも知りたい。

どんな些細な事でも、知らなくていい事なんか一つも無いのに。

本当…素直じゃないね、私。



『可愛くねーな?相変わらず』



その言葉とは裏腹に顔は笑ってて、自然と私も笑みが漏れる。



「自分で探すし」

『探すとか、マジやめろ…』



髪をクシャクシャにすると“葵はバイトしねーの?”と、私を見下ろす。



「バイト…」



私もやってたよ…。

アイツに出会うまでは…。



『葵?』

「今んトコ、予定無い…かな」



苦笑いを浮かべると、視線を落とす。

そんな私を何も言わずに抱きしめてくれた璃琥。

すごく大きくて、温かかった。



『そんな顔すんな』

「ごめん…」



不思議…。

璃琥にこうしてもらうと心が落ち着く。



『ったく…』



“手の掛かる女だな…”結局は一言多いけど、それも照れ隠しだって分かったから。

だから、もう頭に来ない……と思う。



「璃琥…」

『あ?』

「…好き」



言わなくても、知ってたと思うけど。

ちゃんと言葉で伝えたかったから。


 
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