誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~


「あの…申し訳ありませんが、わたしにはそんな責任のある仕事は、とても…」



「若松さんなら大丈夫よ。そんなに畏縮なさらないで。

それに、お二人ともお若いんだから、今後は正社員への登用の可能性もあるでしょうし、同じ働くなら上昇志向でいきましょうよ。時給も些少ながらアップさせて頂きますので」



「いや、はぁ…でも…」



前の会社では、あれが寿退社を逃した娘だと、自分の知らない部署の人達にまで噂が広まり、さんざん嫌な思いをした。



退社後、たまたま出会ったオペレーターという仕事は、お客様と一対一が基本のスタンス。余程の問題を起こさない限り、周りを巻き込むこともない。



次に働くのなら極力目立たず、周囲の人と波風立てず…と心に決めていた彩にとっては、思いがけなくピッタリの環境で、ようやく安住の地を見つけたと思っていたのに…



リーダーになって年上の先輩に指導したり意見するなんて、陰で何て言われるか考えただけでゾッとする。



あ~ヤダヤダヤダヤダ…




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