誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~


そんな彩の葛藤をよそに、話はトントン拍子に進んでいく。



「…じゃ、桐谷くん、後はよろしくね」



「はい。来週水曜から三日間、本社の近くのホテルを手配しています。わたしも付き添いますので、何か困ったことがあれば、遠慮なく申し出て下さい」



「えぇ~、桐谷さんもご一緒してくれるんですかぁ?心強いわぁ~」



鳥肌が立つくらいの甘えた声に、彩は思わず中島の顔を二度見した。



出たなっ、妖怪色気ババァ。



見ているこっちが恥ずかしくなるほど、女の色気をプンプン撒き散らす中島に何かよからぬ胸騒ぎを覚えたものの、彩がこの女の本当の恐ろしさを知るのは、もうしばらく先のこととなる。





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