クロノス
破られた、静寂
 その日、俺、光崎 弓弦は友達と八時間こもって歌い続けた、カラオケを切り上げて時間的に、すっかりシャッター通りになってしまっている商店街を歩いていた。手には某コンビニのから揚げが入った袋を持っている。こんな時間帯、この雰囲気。ああ、平和破られそう。なんて考えていたのは、言うまでもなくキョロキョロと無駄にあたりを見渡したり、路地をじっと見つめたりする俺の行動で、いささかバレてしまっている気がする。
「おい、きいてるのか?光崎」
「あ、悪い。ちょっと聞いてなかった。んで、何の話だっけ?」
「来週の予定の話だよ」
「ああ、俺はやっぱりパス」
 手首の包帯をいじりながら、路地をのぞく。
「えー!?お前乗り気だったじゃん、池袋のアニメイトいくの」
 だってさー、なんか池袋っていそうじゃん。と小声でいう。
「何がいそうなんだ?」
「・・・ストリートギャング?」
 とたん、友達が吹きだした。わかってるよ、厨二だと言いたいんだろう?でもいるのは本当だぞ。俺の入ってるチームは池袋人多いみたいだし、そういう話聞くから。…いわないけど。
「お前、もしかして断る理由それ?」
「いや、単に用事があるだけ」
 しれっと、嘘を言ってやった。本当は抗戦とか興味あるけれど、参加したいという意欲が積極的にないのが本心だからな。そして、俺はもう一度、暗い路地に目をやった。
「…クロト?」
 急にHNで名前を呼ばれた。何事かと声がした方を振り替えれば、そこには見知らぬ人。
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