出会う前のキミに逢いたくて
「心配だなあ。何かあったのかな」

マスターが有用な情報をもってるのでは、と耳をそばだてる。

けど、それは期待はずれだった。

案の定というべきか。

これが現実だからしょうがないというべきか。

「まあ、女の子が体調が悪いといったら、ほぼ百パーセント、月に一度のアレじゃないですかねえ」

当人がいないことをいいことに、お下品発言をかまし、一人「ガハハハ」と笑っていやがる。

まさに「オヤジ丸出し」である。

ダメだ、このおっさん・・・なーんも知りたいことを知らない。

ここにいても時間の無駄だ。

コーヒー代がもったいないくらいだ。

「マヤちゃんが来ないんじゃつまんないよ。オレはとっとと退散しまーす」

カウンターに小銭を置き、足早に店を出た。

マヤの身の上に何があったんだろうか。

手がかりをつかむどころかフラストレーションがたまっただけだった。

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