蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・手がかかるなら、放っておいてくれればいいじゃないですか」
と言った絢乃に。
卓海は一瞬の沈黙の後、ひとつ息をついた。
「オレはな。気に入った道具は、傍に置いときたいタチなんだよ」
「・・・っ・・・」
「そして一度手にした道具は、使い倒すタチなんだ。壊れるまで、ね」
卓海は言い、ニヤッと笑った。
・・・壊れるまで、って・・・
絢乃はさーっと青ざめた。
やはり、この男は鬼だ。
自分が理解できる相手ではない。
絢乃は心の中でエグエグと泣きつつ、卓海に手を引かれるまま、岩場を歩いていった。