蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】



15:00。

絢乃はさりげなく居室を出、給湯室へと向かった。

───まるで気乗りはしないが、仕方がない。

けれどこれで、一か月のうち半分は過ぎた。

あと二週間ほど頑張れば、無罪放免になるだろう。

・・・ペナルティがなければ、だが。

絢乃は恐る恐る給湯室を覗いた。


「・・・来たな」


卓海は給湯室のシンクに寄りかかり、腕を組んで絢乃を見つめる。

・・・その、凶悪な笑顔。

まさかこんな悪気全開で待ち構えられていると思っていなかった絢乃は、思わずくるりと踵を返そうとした。

考えての行動ではなく、とっさに体がそう動いてしまったのだが・・・。

しかし卓海にはそう見えなかったらしい。

卓海はとっさに絢乃の腕を掴むと、ぐいと物凄い力で絢乃を引き寄せた。


「・・・・っ!?」

「いきなり戻ろうとするんじゃねぇよ。・・・お前に聞きたいことがある」


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