恋愛温度(番外編も完結しました)
抱きしめられたままどのくらい時間が経っただろう。

耳もとで、

和司が申し訳なさそうに囁いた。


「あのさ、ほんとずっとこうしていたいんだけど、

 もう少ししたら秘書が来ちゃうんだよね。」


はっとして、

慌てて離れた。


「や、そ、そうよねごめん。」


「仕事に来たんだろ?」


「あ、そ、そうよ。

 ここを住居にするって聞いたけど?」


「一週間前までフランスにいたからね。」


「フランス?」

「まあ、他にもあちこちね。

 気が付かなかった?この会社、
 
 ヨーロッパ各地相手の物流会社だよ。

 おかげで、日本にいるのは年に一ヶ月

 あるかないかだよ。

 でも、いくらなんでも事務所に寝泊りするのはキツいんで

 社屋ビルの空きフロアをリフォームしようと思って。」
  
 
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