恋愛温度(番外編も完結しました)

「あのマンションは売ったから、

 お前の荷物は、送ってあったろ?」


「あ、うん。送られてきたよ。離婚届と一緒に。」


「そっか。よかった。悪いな、

 とてもあの後お前の顔見られなくてさ

 送りつけるような形にして…

 出してくれたんだよね?」


「え?ああ、うん。」


「そっかそうだよな、ちょっと期待したんだけど、

 やっぱ、出しちゃったか?

 まさか、再婚とかしたりしてるの?」


「ううん、してないよ。」


「ふ~ん、あ、っじゃあ、ここ頼むね?

 ちょっと打ち合わせに出てくる。秘書が来るから、

 そいつと話しして?」


「あ、うん。わかった。」


「久しぶりに会えてよかったよ、じゃあな。」

和司は忙しそうに行ってしまった。

ポツリとと残された私、

そっかあ、もう赤の他人なんだな、

でも、

和司ごめんひとつ嘘ついちゃった。



離婚届はまだ出してない。

できなかった。

提出に行った時の和司の嬉しそうな顔がちらついて

サインさえしていない。

でも、

やっぱりちゃんとしなきゃダメだよね。











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