夏の日差しと狼のいろ。

サヨナラと巡り




ツキは目を覚ました。うっすらと白い、天井が見えた。


ピ、ピ、ピ、と機械音が響く。
身体はまだ重かった。



「ウルー…?」


ふとそんなことを呟く。

もソレに答える声はなかった。

ツキは自分が倒れたところまでしか記憶がなかった。

ツキの頬をつぅ…っと涙が溢れだす。


ここはきっと町の病院だ。

ウルーと二人の砂漠じゃない。


怖い。怖い。怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…



ツキはもがいた。点滴の針ははずれ、動きをとれるようになった。


(怖いよ、見つかったら殺されちゃう。)

ツキの頭はいつのまにか見せ物小屋にいた、
記憶でいっぱいになってしまった。


タスケテ コロサレチャウ

シニタクナイヨ。。イタイヨ イタイヨ…




ツキはそのまま窓から外に飛び出た。
< 21 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop