夏の日差しと狼のいろ。



 「!」


 兎は驚いた顔をして
 すっとんでいった。


 ツキさんやウルー様も
 自分を驚いた顔で見ている。



 そこで気がついた。


 自分が"テイクオーバー"
 しかかっているのだと。


 ミリシアさんに聞いたことが
 ある、テイクオーバー。


 理性を失い、死の可能性の
 ある体の限界まで力を出す能力。


 でも、確実に
 ツキさん達を助けられる、

 そう思った。









 ある程度ツキさん達に話、
 爆風で二人を飛ばした。



 飛ばす寸前、アルは
 口を、"ありがとう"の
 形にした。



 二人は気づいてくれただろうか。



 自分に出来た、大切な仲間。



 守りたい、はじめて思った。



 「アナタたちには、死んでもらいます」



 アルはにっこりと笑うと
 影をのばし、双子をとらえた。



 少年はすでにぐったりし、
 少女も反抗的にこちらを睨む。


 「私は、仲間を…仲間を
  守りたい……」



 体がぴきぴきと
 軋むのがわかった。


 でも、守らなきゃ。






 次の瞬間、
 黒い影と光が爆発的に増加し、


 アルは理性を手放した。




 貴方タチ…ヲ マモ…レ るナラ…







 ーーーーーー

 ーーーーー


 ーーー…




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