夏の日差しと狼のいろ。


「何っ!?」

ラルズが走り出し、
その血をじぃっと見つめ、叫んだ。

森からただならぬ雰囲気と
血の生臭いニオイが漂っていた。


二人は赤髪の間からひょっこり覗く
自慢の長い耳を動かし
耳をそばだてる。


獣が動く音、悲鳴、
何かがかみちぎられる音。


「…ねぇ、これってぇ…」


それ以上は言わなかった。



ただ不安げな色を浮かべた
ラルズの瞳がこちらに
向けられる。



ラスクも同じことを
考え、感じていた。









ー狼の奇襲だ。



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