夏の日差しと狼のいろ。

赤色と牙

ツキside▼


ツキはベッドのはしっこで
丸くなって座って、


(扱い、ひどい…)

そう思いながら、

不満げに
サンドルを睨み続けていた。


ようやく何か用事を終えたのか
サンドルが振り向いた。


「…なんだ、小娘
不満げな顔しやがって」



「……」


耳のことで焦っていたときは
あまり気にしなかったが

落ち着いてみると気になる。



だいぶサンドルに慣れたツキは
率直に不満を述べた。



「…服。」


「…あぁ?服?」


そう、服だった。

今ツキが来ているのは、
長いTシャツのみだった。


ツキはその格好が
昔、奴隷として扱われていた
時にも来ていた
短いワンピースに似ていて


嫌な格好に思えた。



「適当すぎるよ。なんでこれ?」


ツキは嫌そうにさらに
ベッドのはしっこに行き


膝を抱える。



するとサンドルが
ゆっくりこちらに来て、

琥珀色の瞳をきらりと
光らせた。


琥珀色の瞳からは
何も読み取れない。




ツキはそれが不気味なものに
思えて、ぞくりとした。











「…何かと楽だと思ってな?」








ギシ、と音を立てて
サンドルはベッドに腰掛ける。







…そして、妖しく笑った。



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