夏の日差しと狼のいろ。

「きゃ!」


ツキはそのままどさりと
サンドルに押し倒された。


「お前は、雪狼だろう?
俺は雪狼だけにはどうしても

勝てなくてな?」



手首をギリギリと
押さえ付けられて、
身動きがまったく取れない。



見かけよりも、ずっと力は強い。

サンドルはツキの
顔に自分の顔を近づけた。


表情は笑っているが
その目は笑っていない。





「…中身をわったら
何が出るだろうなと、な」



ツキはカタカタ震えて
必死にもがいた。



しかしそれは意味を成さない。




「じっとしろ、小娘」



サンドルはぼそりと
言ったが、ツキは言うことを
聞かなかった。


そのまま、もがき続ける。




「…しょうがねーな…?」




そう言った直後、
サンドルがポケットから何かを
出し、それを自分の

口に含んだ。



「悪く思うなよ、小娘?」



その直後、サンドルの
顔がさらにぐんとツキに近づいた。
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