夏の日差しと狼のいろ。




ツキはガバッと飛び起きた。


けだるさが体を覆う。


慣れない狼の姿で居て、
疲れてしまったようだ。



ツキはちらりとアルをみた。



アルは顔色もよくなり、
寝かされていた。

石化した足も治っている。




しかしツキは気が急ぎ、
鼻先でアルを突いた。




「ん…ぅう…」




アルは琥珀色の瞳をはっきり開けた。


そして、ツキを見た。



「あれ?ツキさん…」



言いかけて、アルは
はっと体を起こした。



「私、確か石化した所から
のぼってきた毒にやられた
はずなんですけど…」



そこまで言ったところで
ギィっとドアが開き、

ラリィが現れた。



ラリィは嬉しそうに微笑んだ。




『ラリィちゃ………っ!?』



ツキは、口をつぐんで
呆然としてそれを見つめた。



ラリィが不思議な笑顔を浮かべた。




「君が探してるのはコレだよね?
雪狼さん…」




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