夏の日差しと狼のいろ。

ラリィは悲しそうに笑った。


その手からは
きらりと青い鍵が覗いた。


不思議に青白く光るそれに
ツキは目が離せなくなった。



あれがあればウルーが助けられる。


早く。早くしなきゃ。



ツキは興奮を隠してこくりと
頷いた。




しかしラリィは悲しそうに笑い
下を向いてしまった。



「これわたしたら行っちゃうよね?
…また私、一人になっちゃう

…でも、でもね…」



ラリィは顔をあげた。


少し涙ぐんだ目で言う。



「どこぞの知らない魔女と
一日仲良くしてくれてありがとう」



ツキはラリィを見つめた。

きっとラリィはここで一人で
頑張っていたのだろう。



ツキは決意した。


自分が雪狼の町、ミラ・レヴイラに
帰ったらラリィを

暮らさせてあげよう…




ツキはありがとう、と
行って人間の姿に戻った。



「私が雪狼って、知ってたんだね」


ラリィはこくりと頷いた。



そして小さな少女を撫でた。



「ミラ・レヴイラが私の住みかなの。
すべてが解決したら

きっとラリィちゃんを呼ぶから!」



ラリィは嬉しそうに笑った。
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