神様修行はじめます! 其の二
セバスチャンさんは、また感謝の言葉を繰り返した。

穏やかで、優しい表情のままで。


この人は・・・本当に大人なんだ。


きっと分かってるんだ。

あたしとお岩さんとの間に、何があったのかを。

どんな会話を交わしたのかを。

どんな見えない絆の糸が生まれたのかを。


見ていなくとも、聞いていなくとも、それが分かるんだ。

それがお岩さんとセバスチャンさんの、絆の糸なんだ。



あたしも・・・そうなりたいな。

門川君とそうなりたい。


見えなくても、聞こえなくても、言葉にしなくても。

確かなもので繋がっている。

しっかりと確実に。それは間違いも無く、途切れる事も無く。


そんな風に信じられるもので・・・繋がりたいなぁ。


「セバスチャン! 何してますの!?」

「はい、ジュエル様」


廊下の向こうで、お岩さんがこっちを向いて叫んだ。

セバスチャンさんがそれに答える。


「天内のお嬢様、後ほどお部屋に軽い夜食をお届けいたします」

「ありがとう、セバスチャンさん」

「どうぞ、ごゆるりとお休み下さい」
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