幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「西本願寺」


新撰組屯所の移転先の最有力候補地はそこらしい。



「……西本願寺の何が気にくわないのだ?」

そう言うと、沖田は肩をすくめた。

「西本願寺は勤王(天皇に忠義を尽くすこと)色が濃い場所なんだよ。しかも長州藩の毛利家とも近い関係にある地でね」


沖田は山南と仲が良い。
山南自身も、沖田をまるで弟分のように可愛がっていた。



山南は勤王の志が高い。

よってこの屯所移転の問題に反対したのだ。



「まぁ近藤さんにしてみれば、西本願寺は将来確実に厄介になってくるんだから、今のうちに悪い芽は摘んでおこうってことなんだろうけど……ゲホッゲホッ」


「沖田……!」





沖田が咳き込んだ。

最近、顔色が明らかに以前より優れない日が多くなっている。


沖田の背中をさすりながら、小野寺は思わず目を細めた。


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