幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
すると、小野寺は唇を動かした。

「…………え?」何言って…



「君にとって一番辛い選択肢だろう。未来で生きるということは」




嫌だ。
それだけは、嫌だ。

それは、青蓮院にとって何よりも残酷な選択肢。




「嫌だ!嫌だ!ならいっそ殺してくれ!頼むから!」


あんな世界に帰りたくない。
あんな辛くて悲しい世界に帰りたくない。





「頼むよ、小野寺姫…!」

「そうやって、」




すると、

彼女は笑った。





「いいじゃないか。惨めでもかっこ悪くても」

……………え?



「私が生きて欲しいんだよ」




ぎゅっと、
青蓮院の手を握る。

そしてその手の平には、小野寺自身の緑石がのっていた。




「おま、それ……」

「小野寺姫が命じる」







パアアアアッ……







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