めがね




ひさしぶりの感覚にクラっとした。




この感じは、決して悪くはないんだけれど...



頬に触れていた温もりがそっと離れて行くことで、空気が生まれ、



ようやく息を吐き、目の前の男をじっと見る。




「なに、してくれてんの」




せめて抗議ぐらいさせてもらう。




いきなり、しかも、この状況でっ!!!




その一言に、ふふんとすべてを悟ったかのように笑うやつがまた憎い。くそぉ…




なんか言ってやりたいのに、こーいうときは尚更、上手い言葉が全然思い浮かばない。




「め・が・ね・フェ・チ♪」



にやにやしながら、頬杖ついてこっちを眺めてきて。




あーもーほんっと!



「ちがうしっ!勇がっ…も~いい!」




恥しさのあまり、顔を背けると




影が伸びて、立ち上がる気配がした。




そこに視線を戻そうかと悩んでいると…



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