幸せになろう
番外編1天上界誕生
 今から、5000年ほど前、人類は、争いを繰り広げていた。
そして多くの人々の怒り、悲しみ、恨み、憎しみ、が巨大なマイナスエネルギーを生み出した。
マイナスエネルギーは、やがて暴走し、あらゆる物を飲み込んでいった。
人、物、動物、植物、人間界の全てを飲み尽くしても不思議ではなかった。
巻き込まれた物は、すべて影も形もないほどに打ち砕かれた。
だが、マイナスエネルギーには、なぜか上向きの力が働いていた。
マイナスエネルギーは、散々暴れまわったあげく、やがて空のかなたへ飛んでった。
それは、時空の壁を突き破り、異次元の世界へ飛んでった。
大穴が開いた時空の壁は非常に不安定になった。
ありとあらゆる物を吸い込んだ。
やがて、この穴は時間がたつにつれ、徐々に塞がっていった。
人間界は、奇跡的に助かったものの、壊滅的な状態になった。

 全く何もない遠い異世界に、植物の種が一つ落ちた。
それは、マイナスエネルギーの暴走によって、人間界から飛ばされて来た物だった。
それは、マイナスエネルギーに巻き込まれても助かった唯一の生命体だった。
種は、地面に埋もれ、やがて発芽した。
人もいなければ、争いもない。自らの生命を脅かされる危険性もないこの世界で、
小さな芽は、すくすくと成長した。
そして、1000年もの時を経て、巨大樹となった。
巨大樹は、人間界を長きにわたり見守ってきた。
やがて、巨大樹は、意思を持つようになった。知恵もついた。
さまざまな能力を身に付けていった。
そして、今から4000年前、初めて天使を産み出した。
最初は、わずかな人数だった。そのわずかな天使達が、天上界を造った。
巨大樹は、天使を産み続けた。
天使の数もどんどん増え、天上界は、大きな一つの国(世界)のようになっていった。
その間にも、人間界では、戦が絶えなかった。
数が増えた天使達は、やがて人間界に降りて行き、人間達の不幸を取り除くようになった。
だが、人が増えると、争いも増える。人間界の不幸も劇的に増加していった。
このスピードに天上界はついていけなかった。
いくら天使の数を増やしても、いくら不幸を取り除いても、不幸は増えるばかりだ。
でも何もしなければ、もっと状況は悪化する。
天使達は、時に悪しき者達によって傷つけられることもあった。
悪人達は、天使達に迫害を加えてまで、欲望を満たそうとした。

< 125 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop