幸せになろう
「大丈夫だ。浄化は痛みを伴わない。では、慎一、今から浄化を始める」
ジェシーは、天使の力を使いマイナスエネルギーの浄化を始めた。
その直後、ドッカーンという激しい爆発音とともに、ジェシーは吹き飛ばされた。
慎一のマイナスエネルギーが、ジェシーに激しく反発したのだ。
「ジェシーさん大丈夫ですか?」
エレーナが駆け寄る。
「バカな! マイナスエネルギーが、私を拒絶した?
慎一のマイナスエネルギーが、本人の意思とは関係なく、天使の力に拒絶反応を示した」
ジェシーは呆然とする。
「そんな、では私達はどうすれば……」
「慎一の中のマイナスエネルギーは、我々が思っていた以上に強大だ。
仮に、私とエレーナが力を合わせても、慎一のマイナスエネルギーを浄化することは出来ない。
私は、今から天上界に戻り幹部会に事態を報告する」
ジェシーは、天上界へ戻った。
「慎一さん、大丈夫ですか? あの…慎一さん?」
「俺の中に巨大なマイナスエネルギーが……」
慎一は、ひどく動揺し、体の震えが止まらない。

 「浄化に失敗したって?」
「はい。慎一のマイナスエネルギーは、我々が考えている以上に強大です。
私一人の力では浄化出来ません」
幹部達は、青ざめた表情で話合いを始めた。
幹部2「じゃあどうすれば……」
幹部3「こうなったら仕方がない」
その場に緊張が走る。
幹部達は、3の次の言葉を恐る々待った。まさか?
「マイナスエネルギーもろとも、慎一を消し去るしかない」
それは、衝撃的な言葉だった。
幹部1「しかし、いくらなんでもそれはやり過ぎです」
「でも、他に方法がない」
幹部3は覚悟を決める。
幹部2「私達が、人間を手にかけることになるとは……」
なかなか決断しきれない幹部1と2。やがて結論がまとまった。
幹部3「ジェシー、今から力の強い天使達を集めます。
貴方は、彼女達とともに人間界に行きなさい。
そして、マイナスエネルギーもろとも慎一を消滅させるです」
「それってまさか……」
ジェシーの表情が大きく変わった。
幹部3「そうです。彼を抹殺するのです」
「お待ち下さい。私達の役目は、人間に幸せを与えるはずです。
その私達が人を殺すなんて信じられません。しかも宮原慎一は、エレーナの契約者です。
契約者を殺すなんて出来ません」
ジェシーは、幹部達に考え直すように求める。
幹部1「事態は、一刻の猶予もありません。
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